YZF-R25(249cc)と YZF-R3(320cc)は車体を共有する兄弟車で、外観も2眼メーターもよく似ています。ひと目でわかる違いはタコメーターのレッドゾーンの位置で、排気量の大きい YZF-R3 のほうが低い回転から始まります。消耗品とクラッチには、R25とR3で異なる部品もあります。比べた2台はどちらも2017年式の R25(RG10J)と R3(RH07J)で、型式は2018年式から変わっています。
メーターは2眼(アナログのタコメーター+デジタル表示)で共通です。


最高出力を出す回転数は R25 が 12,000rpm、R3 が 10,750rpm で、R3 のほうが 1,250rpm 低い回転でピークに達します。
低い回転で頭打ちになるのは、ストロークの長いエンジンだと思われがちですが、2台のストロークはどちらも 44.1mm で同じです。排気量の差は、R3 が内径(ボア)を 60.0mm から 68.0mm に広げたことで生まれています。
違いは味付けです。馬力は R25 が36PS、R3 が42PSで、R25 は回して最高出力を出す高回転型、R3 はボアアップした分を低中速のトルクにあてた低回転型です。
| 項目 | YZF-R25 | YZF-R3 |
|---|---|---|
| 車体型式 | RG10J | RH07J |
| エンジン | 水冷4ストローク DOHC 4バルブ 並列2気筒(共通) | |
| 総排気量 | 249cm3 | 320cm3 |
| 内径×行程 | 60.0mm×44.1mm | 68.0mm×44.1mm |
| 圧縮比 | 11.6:1 | 11.2:1 |
| 最高出力 | 36PS / 12,000rpm | 42PS / 10,750rpm |
| 最大トルク | 2.3kgf·m / 10,000rpm | 3.0kgf·m / 9,000rpm |
| 変速機 | 6段 | 6段 |
※ 数値はヤマハ発動機のニュースリリース(YZF-R25 は2014年11月4日、YZF-R3 は2015年2月23日)による。R3 の諸元は YZF-R3 主要諸元・スペック にまとめている。
純正パーツカタログ(YZF-R25用 2YD1・YZF-R3用 2YPG)の品番を照合すると、駆動系とブレーキパッドは共通部品でしたが、燃焼まわりの消耗品とタイヤは車種別に分かれていました。
| 項目 | YZF-R25 | YZF-R3 |
|---|---|---|
| スパークプラグ | NGK CR9E(94700-00318) | NGK CR8E(94700-00872) |
| オイルフィルター | 純正 1WD-E3440-00 社外 ベスラ SF-4005 |
純正 1WD-E3440-10 社外 ベスラ SF-4007 |
| タイヤ(前) | IRC RX-01F 110/70-17M/C 54S(94111-17801) |
ミシュラン PILOT STREET 110/70-17 M/C 54H |
| タイヤ(後) | IRC RX-01R 140/70-17M/C 66S(94114-17802) |
ミシュラン PILOT STREET 140/70-17 M/C 66H |
| ドライブチェーン | DID520VF 112LE(94568-H3112)・共通 | |
| フロントスプロケット | 14T(1WD-E7460-00)・共通 | |
| リヤスプロケット | 43T(1WD-F5443-00)・共通 | |
| ブレーキパッド(前) | 1WD-25805-00・共通 | |
| ブレーキパッド(後) | 1WD-25806-00・共通 | |
※ 品番は純正パーツカタログ(YZF-R25 2YD1・YZF-R3 2YPG)による。オイルフィルターの社外品番はベスラ(VASS)の適合表、YZF-R3 のタイヤ銘柄は取扱説明書(日本語版 2014年)による。
スパークプラグは、R25がNGK CR9E、R3がNGK CR8Eで、数字が1つ小さいプラグを指定しています。一般に高回転型のエンジンほど冷え型(数字の大きい)プラグ、低中速重視のエンジンほど熱型(数字の小さい)プラグが使われます。オイルフィルターは、取り付け側のハウジングやカバーは共通品番でしたが、フィルターエレメント本体は車種別の品番で、社外品の対応表でも別区分でした。
純正装着タイヤは銘柄から違います。R25 が IRC(井上ゴム工業)の RX-01、R3 がミシュランの PILOT STREET です。サイズと荷重指数は 110/70-17 M/C 54・140/70-17 M/C 66 で共通で、違うのは速度記号です。R25 が S(180km/h)、R3 が H(210km/h)で、最高出力の差がタイヤの規格にも出ています。どちらもバイアスタイヤで、サイズ表記にラジアルを示す R は入りません。
一方、ドライブチェーンと前後スプロケット、フロント・リヤのブレーキパッドは純正品番が完全に一致していました。フロント14T・リヤ43Tの減速比(約3.07)も共通です。部位別の締め付けトルクは YZF-R3/R25 締め付けトルク一覧 にまとめています。
クラッチは、フリクションプレートとクラッチプレートこそ品番共通(YZF-R3 が1枚ずつ多い)ですが、クラッチスプリング・クラッチボス・プレッシャープレート・クラッチハウジングは車種別の品番でした。
| 部品 | YZF-R25 | YZF-R3 |
|---|---|---|
| クラッチスプリング | 1WD-E6333-00 ×4 | 2MS-E6333-10 ×4 |
| フリクションプレート | 1WD-E6331-00 ×6 | 1WD-E6331-00 ×7 |
| クラッチプレート | 1WD-E6324-00 ×5 | 1WD-E6324-00 ×6 |
| クラッチボス | 1WD-E6371-00 | 2MS-E6371-00 |
| プレッシャープレート | 1WD-E6350-00 | 2MS-E6350-01 |
| クラッチハウジング | 1WD-E6150-00 | 2MS-E6150-00 |
| クラッチスプリング自由長 | 51.52mm | 47.81mm |
※ 品番は純正パーツカタログ(YZF-R25 2YD1・YZF-R3 2YPG)、自由長は YZF-R25/YZF-R25A/YZF-R3A統合サービスマニュアルによる。
自由長はへたりの判定寸法で、クランプ力は線径・ばねレートで決まります。サーキットで走らせていた YZF-R25 は高負荷域でクラッチが滑りましたが、クラッチスプリングを YZF-R3 用に交換すると滑りは止まり、ばねが強い分、レバーの引きはノーマルよりやや重くなりました。
ここまでは純正部品の品番です。YZF-R3カスタムで記事にしている社外パーツは、どれも R25 と R3 の間で流用できます。レバー、バックステップ、セパハン、ハイスロとスイッチキット、クラッチカバー、マスターシリンダーガード、ドライブチェーンガード、ハンドルストッパー、前後のアクスルシャフトとカラー、ピボットシャフト、フロントフォークのスプリング・カラー・バルブとイニシャルアジャスター、リアサスペンション、前後のスプロケット、フロントブレーキのローター、前後のブレーキホースホルダ、NAGバルブ、プラズマブースター、ラピッドバイク EVO、エアファンネル、キャッチタンク、タンクキャップは R25 から外して移しました。
ドライブチェーンガードはスイングアームが共通、フロントアクスルシャフトとリアアクスルシャフトはメーカー適合が YZF-R25/YZF-R3/MT-25/MT-03 で共通、プラズマブースターは結線表が R25・R3 で共通です。
STRIKER のバックステップでは、リザーバータンクの回り止めがフレームに当たります。この腕は ABS の配線を留めるためのもので、国内の R3 は ABS が標準装備です。移植元の R25 は ABS なしの仕様で、そこから外した回り止めに替えました。
サブコンのラピッドバイク EVO の車種チェンジは、ハーネスではなく本体の書き換えです。ハーネスは取付要領書が R25 と R3 を1冊で扱っていてそのまま使えますが、本体には車種ごとのプログラムが書かれているため、販売元へ送って R3 用に書き換えてもらいました。
320cc の R3 は 251cc 以上の小型二輪にあたり、車検があります。249cc の R25 は軽二輪で、車検はありません。71cc の差で区分が分かれます。
この R3 は慣らしを終えたあとにナンバープレートを返納して一時抹消登録をしました。車検が残っていても自動車重量税は還付されません。
比較に使った YZF-R25 は、筑波サーキットを走らせてきたサーキット専用車です。黒ゲルの外装にゼッケンを付け、ARROWのフルエキゾーストとレース用タイヤを組んだ仕様で、写真はラップタイマーを何種類か試していた頃のものです。現在は QSTARZ のみ使っています。

