YZF-R25(249cc)と YZF-R3(320cc)は、車体を共有する兄弟車です。両方を実際に所有して気づいたのが、コクピットでいちばん目につく違い ── タコメーターのレッドゾーンが、排気量の大きい R3 の方が低い回転から始まることです。「排気量が大きいほうがよく回りそう」という感覚とは逆になります。
同じ2眼メーター(アナログのタコメーター+デジタル表示)ですが、目盛りとレッドゾーンの位置が違います。
R25 のタコメーターは 16,000rpm 付近まで刻まれ、レッドゾーンは 14,000rpm あたりから。R3 は目盛り自体が低い位置で終わり、レッドゾーンもそれより手前から始まります。数字にすると、最高出力を出す回転数は R25 が 12,000rpm、R3 が 10,750rpm と、R3 のほうが約 1,250rpm 低い回転でピークに達します。
ここでよくある誤解は「R3 はストロークが長いから低回転型」というものですが、事実は違います。2台のストロークは同じ 44.1mm です。R3 は内径(ボア)を 60.0mm から 68.0mm に広げて排気量を増やしています。ストロークが同じなので、回転の物理的な上限そのものは大きく変わりません。
違いは味付けです。R25 は 12,000rpm という高い回転で最高出力を出す、よく回して楽しむ性格。R3 はボアアップした分の余裕を低中速のトルクにあて、10,750rpm でより大きな出力(42PS)を発生します。ピーク回転もレッドゾーンも低い側に置かれ、低い回転から力が出るように仕立てられているわけです。「排気量が大きい=もっと回る」ではなく、「同じ土台で、回して稼ぐ R25/低めの回転で稼ぐ R3」という違いになります。
| 項目 | YZF-R25 | YZF-R3 |
| 車体型式 | RG10J | RH07J |
| エンジン | 水冷4ストローク DOHC 4バルブ 並列2気筒(共通) | |
| 総排気量 | 249cm3 | 320cm3 |
| 内径×行程 | 60.0mm×44.1mm | 68.0mm×44.1mm |
| 圧縮比 | 11.6:1 | 11.2:1 |
| 最高出力 | 36PS / 12,000rpm | 42PS / 10,750rpm |
| 最大トルク | 2.3kgf・m / 10,000rpm | 3.0kgf・m / 9,000rpm |
| 変速機 | 6段 | 6段 |
※ 内径×行程だけが違い、行程(ストローク)は 44.1mm で共通。出力・トルクの発生回転数を見ると、R3 はどちらも R25 より低い回転で最大に達する。数値はヤマハ発動機の公表値および各諸元情報にもとづく。R3 の諸元は YZF-R3 主要諸元 にまとめている。
比較に使った YZF-R25 は、サーキット走行に使ってきた車両です。写真はラップタイマー等を取り付けた状態のもので、現在はラップタイマーとして QSTARZ を使っています。
YZF-R3 の記録は YAMAHA YZF-R3 資料 に、中古で入手し納車するまでの経緯は YZF-R3 納車記 にまとめています。