YZF-R3 のカスタム記録のうち、プロテクター系です。ここで移したのは、ブレーキのマスターシリンダーを守るガードです。
R25 に付けていたキタコ(KITACO)のマスターシリンダーガードを、そのまま R3 へ移しました。右側のブレーキマスターシリンダー(ハンドルのブレーキフルードのタンク部分)の外側に張り出して、転倒したときにここを守る、アルミ削り出しの部品です。



| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | キタコ(KITACO) |
| 製品名 | マスターシリンダーガード |
| 品番 | 500-0770900(ブラック) |
| 素材 | アルミ削り出し・アルマイト仕上げ |
| 付属 | キャップボルト M10×15/ミラーアダプター(R) 10L-10R |
| 適合 | YZF-R25/YZF-R3 |
※ 素材・適合はメーカーの商品説明にもとづく。製品情報は キタコ公式の商品ページを参照
このガードは、マスターシリンダーのミラー取付部に留めます。YZF-R3 の右側は逆ネジのため、取り付けは2段階です。
| 工程 | 締結部 | トルク | 方法 |
|---|---|---|---|
| ① | ミラーアダプター(R) 10L-10R を車体側(10mm 逆ネジ)へ | 23N·m | トルクレンチで管理 |
| ② | ガード本体を固定するキャップボルト(M10×15) | 18N·m | トルクレンチで管理 |
まず①で、付属のミラーアダプターをマスターシリンダーのミラー取付部にねじ込みます。ここは逆ネジ(左ねじ)で、23N·m でトルク管理しました。次に②で、ガード本体を付属のキャップボルトで固定します。こちらは南海部品のトルクレンチ(6〜30N·m)で 18N·mに締めました。ボルトは M10 ですが、アルミのアダプターに薄いガードを留めるだけなので、締めすぎないよう、ミラーの 8mm ネジの値(18N·m)を参考に低めにしています。


※ キタコの説明書に締付トルクの指定はありません。締付トルクは、ミラーメーカーの取扱説明書(TANAX・ナポレオン クラシカルミラーEX 取扱説明書 PDF)を参考にしています。同書ではネジ径10mm=23N·m、8mm=18N·m で、①は10mm、②は8mm の値を使いました(いずれもキタコの指定値ではありません)。
①の締め付けは逆ネジです。差し込み工具を反転させると左ねじ側でも作動するスタビレー(STAHLWILLE)のトルクレンチ 730N/10Sを使いました。仕様と逆ネジでの使い方は 逆ネジ対応トルクレンチ にまとめています。

②のガード固定ボルトは、南海部品のトルクレンチで締めています。①は逆ネジ側、②は正ネジ側という違いで、2本のトルクレンチを使い分けました。仮締めには スナップオン(Snap-on)の 3/8インチ ラチェット(FHC737)を使っています。
装備の基準として参考にしている JP-SPORT の技術仕様に、マスターシリンダーガードにあたる条文は見当たりません。近いものでは 7-3-7-10 が「フロントとリアのブレーキリザーバータンクの取り付け位置の変更およびステーの変更/追加を認める」としていますが、これはリザーバータンクとそのステーの条文で、ガード本体を認めるものではありません。
同規則の序文は「本規則に明記されていない、または許可されていないものについては一切改造、変更は許可されない」としています。明記されたものだけを認める方式なので、禁止する条文が見当たらないことは、そのまま根拠にはなりません。
ただし序文は、改造を「オリジナルのパーツに対し切削、追加、研磨を行う行為」、変更を「オリジナルのパーツまたは仕様を、他のパーツ・仕様に置き換える行為」と定義しています。このガードは車体を加工せず、ミラー取付部にねじ込むだけの追加部品です。マスターシリンダー本体も純正のままなので、どちらの定義にも当てはまらないという読み方もできます。
ほかのシリーズには、この部品を名指しで認めている規則があります。HRC GROM Cup の2026年度技術規則 7-3-6-4 は、「フロントとリアブレーキキャリパー(マウント、キャリア、ハンガー)およびマスターシリンダーは、車両公認時のものでなければならない」に続けて、「FRのマスターシリンダーにはプロテクターを取り付けることが出来る」と書き、取り付け方法まで指定しています(ハンドルバーブラケットプラグを利用し、M10 のボルトで固定)。
前半の一文は、JP-SPORT の 7-3-7-6 とほぼ同じ文言です。同じ趣旨の条文を持つ規則でも、プロテクターの扱いを書き足しているものと、触れていないものがあります。なお GROM Cup が指定する取り付け位置はハンドルバーブラケットで、このガードのミラー取付部とは別の場所です。
※ 条文は HRC GROM Cup 技術規則を参照
適合の判断は大会の車検長が行います。ほかの部品の条文番号は YZF-R3カスタムの規則一覧に載せています。
元は黒アルマイトでしたが、数回の転倒で傷が付いたので、つや消し黒のスプレーで塗り直しました。ボルトの頭も一緒に黒く塗っています。クラッチカバーを塗ったのと同じ塗料です。
クリア塗装はしていないので、いずれ剥げます。剥げたらそのつど塗り直します。
筑波サーキットの最終コーナーの高速域では、これまでに2回転倒しています。そのどちらでも、ブレーキマスターシリンダーの蓋(リザーバーキャップ)は外れずに済んでいます。ガードが効いている結果です。
もしここが外れると、中のブレーキフルードがコースに漏れます。走行が止まってしまうこと以上に、漏れたフルードで後続のライダーが滑って転倒する危険があるのが問題です。

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