
サーキットのスポーツ走行で使っていた YZF-R25 のパーツの移設と、新規購入パーツを組み合わせた YZF-R3 のカスタム記録です。R25 と R3 は車体を共有する兄弟車なので、車体まわりのパーツの多くはそのまま移せます。これが R3 を選んだ理由でもあります。
慣らし運転の間は、公道でもそのまま使えるパーツから移しました。ナンバープレートを返納したあとは、ABSキャンセルのようなサーキット専用の作業も加えています。
手と足で車体を操作する部分をまとめた系統です。
転倒や巻き込みから車体・身体を守る系統です。
車体を支え、路面からの入力を受ける系統です。フロント・リアのアクスルシャフト、フロントフォークの中身、リアサスペンション、ピボットシャフトを社外品に替えます。
エンジンの力を後輪へ伝える系統です。
制動を受け持つ系統です。
リアのブレーキパッドは交換しません。スリッパークラッチを装備しておらず、エンジンブレーキがよく効くため、サーキット走行でもリア側に制動力を求めていないからです。R25でも同じ理由で純正のまま乗っていました。
エアクリーナーやサブコン、点火プラグなど吸気・燃調・点火にかかわる系統です。
タンクキャップと、ガソリン・冷却水のキャッチタンクの系統です。
バッテリーまわりの系統です。
リアスタンドをかけるためのフックと、サイドスタンドを外したあとに差すスイッチキャンセラーです。
パーツの移植とは別に、カウル類を脱着した記録は YZF-R3/R25 カウル脱着、タンク・エアクリーナーボックスを脱着した記録は YZF-R3 タンク・エアクリーナーボックス脱着、整備のときだけ使う工具は YZF-R3 整備工具 にまとめています。
この車両はサーキットのスポーツ走行用で、レースの車検を通すために作っているわけではありません。装備の基準には MFJ 国内競技規則 2026 付則11「JP-SPORT技術仕様」を参考にしています。
規則が変更を認めていない部位もあります。パーツごとの扱いは次のとおりです。
| パーツ | 条文 | 規則側の扱い |
|---|---|---|
| ドライブチェーンガード | 7-2-6-1/7-2-6-2 | 7-2-6-1 が装着を義務づけ。材質はカーボンを除き、板厚は最低2mm |
| ハンドルストッパー | 7-2-7 | 装着を義務づけ。ハンドルバー(レバーを含む)と燃料タンクの間に最低30mm。ステアリングダンパーでの代用は不可 |
| レバーガード(ブレーキレバープロテクション) | 7-3-11-6-1/7-3-11-6-2 | 装着を義務づけ。スロットルグリップの作動に支障がないこと。取り付け部を含めてグリップラバーエンドから50mm以上突き出さない、鋭利な部分やエッジがない、片持ち、材質は樹脂(カーボン・ケブラー不可)かアルミ |
| クラッチカバー(2次カバー) | 7-3-15 | 2次カバーによる保護が義務。FIM 公認品は材質を問わず使用できる |
| ジェネレーターカバー(2次カバー) | 7-3-15 | 左側は JP250 時代のフェアリング除外が JP-SPORT でなくなり、新規に装着が必要になった |
| スタンドフック | 7-3-5-2/7-3-2-2 | 取り付けのための加工は許可。必要以上に長く鋭角なものは不可 |
| ブレーキ・クラッチレバー | 7-3-11-2/7-3-11-3 | 変更が認められる。調整機構つきへの変更も可 |
| レバーのボルト類 | 7-3-26-1 | 公認車両と同じか、鉄製の材質なら変更できる |
| バックステップ(フットレスト・ペダル) | 7-3-10-1/7-3-10-4 | 改造・変更が認められる。位置の移動も可だが、ブラケットは元の取付位置に固定。折りたたみ式でないフットレストの先端に、アルミ合金・プラスチック等のプラグ(最低半径8mm)を求める |
| セパハン(ハンドルバー) | 7-3-11-1/7-3-11-1-1/7-3-11-1-3/7-3-11-1-5 | 交換・取り付け位置の変更が認められる。一体式のセパレートハンドルも可、最低幅は450mm、軽合金バーの補修溶接は禁止 |
| バーエンド | 7-3-11-1-2 | バー末端をゴムかプラスチックで覆うか、固形物を詰めることを求める |
| 左スイッチボックス・ウインカー・ホーン | 7-1-1/7-4-2/7-5-3 | ウインカーは取り外しが必須。ホーンは取り外しのみ可で、アフターマーケット部品への交換は不可。スイッチホルダーは取り外しも交換も可 |
| スロットルホルダー・ケーブル | 7-3-11-4 | 改造・変更が認められる。スイッチ一体式から別体式への変更も可 |
| スロットルの自閉・キルスイッチ | 7-2-1/7-2-2 | スロットルグリップが手で握っていないときに自動的に閉じることと、握ったまま操作できる位置への赤色キルスイッチの設置を求める |
| マスターシリンダーガード | 該当する条文なし | 読みが分かれる(車体を加工しない追加部品) |
| リアアクスルシャフト | 7-3-9-2 | 公認車両の状態を維持と規定。変更不可 |
| フロントアクスルシャフト | 7-3-9-2 | 公認車両の状態を維持と規定。変更不可 |
| アクスルカラー | 7-3-9-2/7-3-9-3 | 条文の読みで扱いが分かれる |
| フロントフォークの内部パーツ | 7-3-3-2 | 改造・変更が認められる。ダンピングアジャスターの追加も可 |
| フォークキャップ(イニシャルアジャスター) | 7-3-3-3 | 外部からプリロードを調節できるよう改造・変更できる |
| フロントフォークのオイル | 7-3-3-8 | 変更可 |
| リアサスペンション・ユニット | 7-3-4-1 | 変更・改造ともに認められる。フレームとリアフォークの取り付け部は公認車両の状態を維持 |
| リアサスペンションのスプリング | 7-3-4-2 | スプリングとカラーの変更が認められる |
| ピボットシャフト | 7-3-5-3 | 公認車両の状態を維持と規定。ベアリング・ディスタンスカラー・スペーサー・オイルシール類も含めて変更不可 |
| 前後スプロケット | 7-3-23 | 丁数と材質の変更が認められる。歯幅と取り付け位置・方法は公認車両と同じであること |
| ドライブチェーン | 7-3-23 | 変更が認められる。サイズ(520)は公認車両と同じで、ジョイントはカシメ方式であること |
| フロントスプロケットカバー | 7-2-6-3 | 車両公認時のスプロケットガードの装着を求めている。CNCカバーへの交換は規則の枠外 |
| ブレーキディスク(ローター) | 7-3-7-4 | 変更可。外径・ベンチレーションシステムは公認時のまま維持。インターナルベンチレイテッドは不可 |
| ブレーキディスクの材質 | 7-3-7-5 | 交換品は鉄(SUS含む)のみ。摩擦面かキャリア含む全体かで読みが分かれる |
| ブレーキパッド・ブレーキホース | 7-3-7-1 | 条文は「前後ブレーキパッドとホースの変更」。前後とも変更可 |
| バンジョーボルト | 7-3-7-2 | ブレーキホース変更に伴う変更を認める |
| ブレーキフルード | 7-3-7-3 | 変更可 |
| βピン(パッドピンの抜け止め) | 7-3-7-7 | 交換可。ワイヤーロックが必要 |
| ブレーキキャリパー・マスターシリンダー | 7-3-7-6 | 第1段落で公認車両の状態を維持と規定。変更不可 |
| ABSユニット・ホイールセンサー | 7-3-7-6 | 第2段落で ECU・ユニットの取り外しとホース類の変更を許可。ABS仕様のマスターシリンダーとキャリパーの改造は禁止 |
| キャリパーボルトの穴あけ | 7-3-7-8 | キャリパー脱落防止のワイヤーロックを目的とした穴あけを認める |
| バッテリー | 7-3-28 | サイズ・タイプとも変更可。ただし始動装置は正常に作動すること |
| NAGバルブ | 7-2-4-1 | オイルブリーザーラインへの逆止弁追加を禁止(競技規則)。実際に走る筑波サーキットのスポーツ走行車両規定には記載なし |
| キャッチタンク(燃料) | 7-3-30-3 | 燃料タンクのブリーザーチューブの先端を、最低容量250㏄以上のキャッチタンクに放出させること |
| キャッチタンク(冷却水) | 7-3-16-7 | ラジエターオーバーフローパイプの先端を、最低容量250㏄以上のキャッチタンクに接続すること |
| ワンウェイバルブ(燃料タンクブリーザー) | 付則7 7-14-9/付則8 7-13-5 | GPフォーミュラとJSB1000では装着が義務。JP-SPORTには記載がなく、オイルブリーザーラインの逆止弁を禁じる 7-2-4-1 とは扱いが逆になる |
| プラズマブースター | 7-3-22 | ワイヤーハーネスの改造、変更は認められる。始動装置・発電装置は公認車両の状態を維持 |
| エアファンネル | 7-3-29-1-2 | 改造は認められるが、他のパーツへの置き換えは変更不可 |
| エアフィルター・エレメント | 7-3-29-1-1/7-3-29-1-6 | 変更・改造・取り外しのいずれも認められる。YZF-R3 はラム圧の追加とボックスの改造が禁止で、吸気口は直径70mm相当の面積まで拡大可 |
| 二次エア(エアインダクション) | 該当する条文なし | 付則11に二次空気の規定はない。7-3-29-1-6 は YZF-R3 のエアクリーナーボックスの改造を禁じている(ボックスのニップルはキャップで塞いだ) |
| スパークプラグ | 7-3-25-1 | スパークプラグとプラグキャップの変更が認められる |
| ラピッドバイク EVO(サブコン) | 7-3-20-3 | サブコンピューターの取り付け・追加を許可。公認車両のECUとの併用のみが認められる |
同規則はブレーキディスクの材質を「鉄(SUS含む)」としていて、ステンレスは鉄の分類に入ります。序文も材質を「鉄、アルミニウム、マグネシウム、カーボンなど」の分類と定義しています。
適合の判断は大会の車検長が行うものです。ここに書いているのは条文と、こちらの選択の関係だけです。
規則が取り外し・装着を義務づける項目は、作業ごとに YZF-R3 納車からレーサー化まで に並べています。
※ 条文は MFJ 国内競技規則 2026 付則11 JP-SPORT技術仕様(PDF)、付則7・付則8は MFJ 国内競技規則 2026 ロードレース全文(PDF)を参照