YZF-R3 のカスタム記録のうち、吸気系です。エアファンネルを KSPP 製に、エアフィルターをデイトナのシートから切り出したものに替えました。ファンネルは YZF-R25 で使っていたので、単体で抜かずにエアクリーナーボックスごと載せ替えています。
エアクリーナーボックスの内側から見た状態です。純正は左右で独立した2本です。KSPP 製は左右2つの吸気口が1つになった一体型で、2つのベルマウスが縁でつながっています。写真では重なって見えます。
純正はボックスに接着されていて、KSPP 製は差し込んではめるだけです。


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | KSPP(Kaewsookfactory/タイ) |
| 製品名 | Velocity Stack(ベロシティスタック)。公式サイトのSKU表記は「Yamaha R3」 |
| 適合 | YZF-R3。純正エアクリーナーボックスにそのまま装着 |
| 材質 | ABS樹脂。熱をためず、高回転でも収縮しない |
| 製法 | CNC 3Dプリンター |
| 保証 | 1年 |
| 購入価格 | 13,483円(2025年7月) |
※ 製品名・適合・材質・製法・保証はメーカーの商品説明にもとづく。KSPP公式サイトの製品ページ(タイ語・英語併記)を参照
KSPP は、空気の流れを基準にベルマウスの形状を見直し、ファンネルの長さを短くしてトルクの出る回転域を高いほうへ移したと説明しています。ECU のセッティングと組み合わせて出力を引き出すことを前提にした設計です。公式サイトの比較写真で見ると、純正は湾曲した長いダクト状で、KSPP 製は短いベルマウスです。
公式サイトは DynoJet での測定値として、ECU のセッティングを併用した状態で 35.78HP → 38.76HP、26.61N·m → 26.71N·m を挙げています。
このファンネルを使い始めたのは YZF-R25 で、2025年10月24日の筑波サーキット走行に合わせて付けました。体感では、サーキットで使う実用回転域から高回転域にかけて、吸入効率が上がったのがはっきり分かりました。
エアクリーナーボックスを車体から外すには、ボックスにつながるホース3本を抜きます。このうちクランクケースブリーザーホースには NAGバルブ が割り込んでいるので、バルブごと外します。
ホース3本の内訳と、ここへ至るまでのフューエルタンクの脱着は タンク・エアクリーナーボックス脱着 にまとめています。


ボックスの下側は、スロットルボディとつながるジョイントが左右2箇所です。ここはエアーフィルターケースジョイントクランプスクリュー(M5・2.5N·m、締め付けトルクデータ参照)で締めます。
純正ファンネルのときは、ジョイントの突起をクランプの溝に合わせる位置が決まっていて、突起と溝の向きは右側と左側で違います。KSPP 製では位置を自由に調整できます。


ここまではボックスごと外す話ですが、エアフィルターを替えるだけなら、フューエルタンクを外さずに車体左側のサイドパネルを外すだけで届きます。
エレメントはボックス左側のエアーフィルターケースサイドカバーの奥にあります。カバーはスクリュー3本(M5・2.5N·m、締め付けトルクデータ参照)留めで、左下の1本はカバー自身の陰に入ります。カバーを外すとエレメントが見えるので、そのまま引き抜きます。




使ったのはデイトナのターボフィルターシート Sサイズ 標準タイプ(商品番号97348・250×200mm・税込2,090円)です。粗目の黄色い面と細目の黒い面を重ねたポリウレタンフォームの乾式シートで、厚さは20mm。純正の形に合わせて切って使うシートタイプです。
純正エレメントは紙をひだ状に折ったもので、裏側はパンチングメタルの板です。シートは純正エレメントの外形に合わせて切り、同じ寸法に切ったステンレスのメッシュを裏に重ねました。フォームとメッシュがずれないよう、ステンレスワイヤーで縫うように留めています。劣化したら、同じ仕様で作り直して入れ替えます。




デイトナは黄色い粗目の面を外側、黒い細目の面をキャブレター側(この車両ではエンジン側)にすることを推奨しています。その向きでボックスに収め、サイドカバーを戻します。

※ 商品番号・価格・厚さ・2層構造・取り付け方向はデイトナ公式サイトの製品ページを参照。ステンレスメッシュとステンレスワイヤーは純正エレメントにない追加
KTC の T型ハンドルとエクステンションバーとソケット、ラチェットドライバー、HAZET と Wera のドライバー、KNIPEX のホースクリップ用プライヤー(85 51 180 A)です。右端のスプールが、フィルターを留めた 0.40mm のステンレスワイヤーです。

装備の基準として参考にしている MFJ 国内競技規則 2026 付則11「JP-SPORT技術仕様」は、エアクリーナーまわりを 7-3-29 で定めています。
エアファンネルの変更は認められないが、公認車両に装備されたクローズドブリザーシステムを維持した範囲でエアファンネルの改造が認められる。
序文の用語定義では、改造はオリジナルのパーツへの切削・追加・研磨、変更はオリジナルのパーツや仕様を他のものに置き換える行為です。KSPP 製への付け替えは変更にあたります。
YZF-R3 を名指しする 7-3-29-1-6 は、ラム圧の追加とエアクリーナーボックスの改造を禁じたうえで、エアフィルター・エレメントについて次のように定めています。
エアフィルター・エレメントおよび吸気ダクトは変更または改造、あるいは取り外すことが認められる。
同じ 7-3-29 の中で、ファンネルは変更できず、エレメントは変更も改造も取り外しもできます。7-3-29-1-6 が車名を挙げているのは YZF-R3 と KTM RC390 の2台だけで、YZF-R3 はボックスの吸気口を直径70mm相当の面積まで広げることも認められています。条文ごとの扱いは YZF-R3カスタムの規則一覧 にまとめています。
※ 条文は MFJ 国内競技規則 2026 付則11 JP-SPORT技術仕様(PDF)を参照
同じ系統のほかのパーツは 吸気・燃調・点火系の記事一覧 にあります。