YZF-R3 サイドスタンドの外し方とスイッチキャンセラー(キタコ)

サイドスタンドをブラケットごと外し、サイドスタンドスイッチのカプラーにキタコのキャンセラーを差しました。キャンセラーは、サーキット仕様の YZF-R25 で使っていたものを移しています。

ブラケットはエンジンマウントボルト(後下側)と共締めで、外したあとはこのボルトにカラーを挟みます。ボルトは M10 で、カラーの厚さは8〜10mmで問題ありません。カラーを先に用意しておけば、作業は20分ほどで終わります。

※ 車両は2017年式の YZF-R3 ABS(RH07J)。ナンバープレート返納後の車体

撤去前のYZF-R3の左側。サイドスタンドを下ろした状態
撤去前(スタンドを下ろした状態)
撤去前のサイドスタンドを上げた状態。スタンドが後ろ向きに畳まれている
撤去前(スタンドを上げた状態)

サイドスタンドスイッチの仕組み

YZF-R3 の取扱説明書(p.3-19)によると、サイドスタンドスイッチ・クラッチスイッチ・ニュートラルスイッチを含むイグニッションサーキットカットオフシステムには、次の3つの働きがあります。

キタコの取扱説明書(PDF)は、キャンセラーを「サイドスタンド使用時のエンジンストップ機能を解除できる製品」としています。

サイドスタンドスイッチの2極カプラーはスプロケットカバーの上

カプラーを抜きます。キタコの取扱説明書も、このカプラーの位置を「ドライブスプロケット付近」と図示しています。写真はフューエルタンクとエアクリーナーボックスを外した車体ですが、YZF-R25 で作業したときは、付けたままで手が届きました。

スプロケットカバーの上で、サイドスタンドスイッチの黒い2極カプラーを指でつまんでいるところ
カプラーの位置(スプロケットカバーの上)
抜いたサイドスタンドスイッチの2極カプラーの雌雄を手に持っているところ
抜いたカプラーの雌雄

キタコのサイドスタンドスイッチキャンセラー(676-9000930)を車体側のカプラーに差す

キャンセラーは2極の端子どうしを線でつないだハーネスです。キタコの適合表では、YZF-R25・MT-25・MT-03 も YZF-R3 と同じタイプDです。キタコの商品ページの価格は440円(税込)です。

メジャーの目盛りの上に置いたキタコのサイドスタンドスイッチキャンセラー。2極のカプラーの端子を灰色の線がループ状につないでいる
キャンセラーの大きさ(目盛りはmm)
車体側の黒い2極カプラーにキャンセラーを差したところ
車体側のカプラーに差したキャンセラー

サイドスタンドスイッチのリード線を上から外す

リード線はスプロケットカバーの中を通って、ブラケットまで下りています。スプロケットカバーが純正の場合は、先にカバーを外します。純正カバーはフランジボルト2本(二面幅8mm)で留まっています。写真の車体はエルエイオートの CNC カバー(前後スプロケットとスプロケットカバー)で、外さずに作業しています。

ドライブスプロケットの前の白いタイラップを切り、最下部の固定部分からも外して、リード線を下までフリーにします。

※ 純正カバーを戻すときの締め付けトルク: ドライブスプロケットカバーボルト 10N·m(締め付けトルク一覧のドライブチェーン・駆動系)

ドライブスプロケットの前でリード線を留めている白いタイラップ
ドライブスプロケットの前の白いタイラップを切る
リード線を留めている最下部の黒い固定部分
リード線の最下部の固定部分
固定部分から外し、ブラケットから床へ垂らしたサイドスタンドスイッチのリード線
下までフリーにしたリード線

サイドスタンドブラケットのボルト2本とエンジンマウントボルト(後下側)を外す

14mmのソケットで、下の2本のサイドスタンドブラケットボルトを抜いてから、右側のナットを外し、上を通るエンジンマウントボルト(後下側)を左へ抜きます。

外す前のサイドスタンドブラケット。上にエンジンマウントボルト、下に2本のサイドスタンドブラケットボルトが見える
外す前(上がエンジンマウントボルト、下の2本がブラケットボルト)
後ろ側のサイドスタンドブラケットボルトにエクステンション付きのソケットをかけているところ
後ろ側のブラケットボルトを外す
前側のサイドスタンドブラケットボルトをラチェットで回しているところ
前側のブラケットボルトを外す
ブラケットの上を通るエンジンマウントボルト(後下側)の頭にラチェットをかけているところ
エンジンマウントボルト(後下側)を外す

※ 取り付け時の締め付けトルク: サイドスタンドブラケットボルト 66N·m(締め付けトルク一覧のエンジンマウント・ステップ・排気)

エンジンマウントボルト(後下側)に厚さ8.06mmのカラーを挟む

ブラケットがあった厚みのぶん、ボルトの頭の下にカラーを入れて左から通し直します。手元にあったカラーを使いました。

市販品には、ポッシュフェイスのM10用 ユニバーサルカラーセット(厚さ8mm が 100810、10mm が 101010)があります。

右側のナットは、14mmのディープソケットにエクステンションを付けて、スタビレーのトルクレンチで締めます。

デジタルノギスでカラーの厚さを測ったところ。表示は8.06mm
カラーの厚さは8.06mm
頭の下にカラーを通したエンジンマウントボルト(後下側)を、左から差し込んでいるところ
カラーを通して差し込む
ブラケットを外したあと、エンジンマウントボルト(後下側)の頭の下に入ったカラー
ボルトの頭の下に入ったカラー
車体右側のエンジンマウントナット(後下側)を、ディープソケットとエクステンションを付けたトルクレンチで締めているところ
右側のナットをトルクレンチで締める
締めたあとの車体右側のエンジンマウントナット(後下側)
締めたあとの右側のナット

※ 締め付けトルク: エンジンマウントナット(後下側)68N·m(締め付けトルク一覧のエンジンマウント・ステップ・排気)

スプロケットカバー内の配線をドライブスプロケットから離す

配線がドライブスプロケットに触れると、歯に巻き込まれます。

上から見たドライブスプロケットの脇を通る配線
ドライブスプロケットの脇の配線(上から)
スプロケットカバー内で整えたあとの配線。黒いタイラップで束ねてある
整えたあとの配線

1速に入れてもエンジンが止まらないことを確かめる

エンジンをかけてクラッチレバーを握り、1速に入れても止まらなければ、3つ目の働きはキャンセルされています。1速に入れたあと、クラッチをつないでも止まりませんでした。ニュートラルではスタンドの状態に関係なくセルが回るので(YZF-R3 の取扱説明書 p.3-20 の点検手順)、ニュートラルで始動できても確認にはなりません。

セパハン交換でクラッチスイッチを外しているので、ギアを入れた状態ではクラッチレバーを握ってもセルは回りません。クラッチスイッチが付いている車体なら、ギアを入れてクラッチレバーを握り、セルが回ることでも確かめられます。

外したサイドスタンド Ass'y と撤去後の左側

スイッチ,サイドスタンド(1WD-H2566-00)、スタンド,サイド(1WD-F7311-00)、ブラケット,サイドスタンド(1WD-F7321-10)は、どれも YZF-R25 と同じ品番です。

外したサイドスタンド Ass'y。スタンド、ブラケット、銀色のサイドスタンドスイッチ、スプリング、先端にカプラーの付いたリード線が一式になっている
外したサイドスタンド Ass'y
サイドスタンドを外したあとのYZF-R3の左側。スプロケットカバーとステップの下にスタンドが無い
撤去後の左側
サイドスタンドを外したあとの左側を、ステップとスイングアームまで入れて引きで見たところ
撤去後の左側(引き)

使った工具

使った工具。上からスタビレーのトルクレンチ、Snap-onのラチェット、下に14mmのソケットとディープソケット、エクステンション
スタビレー 730N/10S、Snap-on のラチェット、14mmのソケットとディープソケット、エクステンション

規則 7-1-4 が取り外しを求めるサイドスタンド

装備の基準として参考にしている MFJ 国内競技規則 2026 付則11「JP-SPORT技術仕様」の 7-1-4 は、セーフティーバー・センタースタンド・サイドスタンドを挙げています。ブラケットについては、7-3-1-6 が「サイドスタンド/メインスタンドのブラケットのカットは許可される。」としています。

※ 条文は MFJ 国内競技規則 2026 付則11 JP-SPORT技術仕様(PDF)を参照

7-1 で外したほかの部品は YZF-R3 納車からレーサー化まで の表にあります。