YZF-R3 ピボットシャフトのカスタム(KOOD クロモリ Y-P-004)

YZF-R3 のカスタム記録のうち、足まわりです。YZF-R25 で使っていた KOOD のピボットシャフトを、そのまま R3 へ移しました。スイングアームとフレームを貫いている1本です。

下の写真は交換を終えた左側です。頭に KOOD の刻印が見えていますが、この上にゴムのキャップが被さるので、組み上げると外からは見えません。

KOODのピボットシャフトに交換した直後のYZF-R3の左側。フレームの奥にKOOD/YP4の刻印が入った六角の頭が見え、奥にオーリンズのスプリングとドライブチェーン

KOOD クロモリアクスルシャフト ピボット用(Y-P-004)

KOOD(クード)のシャフトです。材質も製法もフロントアクスルシャフトと同じで、日本製のクロームモリブデン鋼を独自の熱処理で調質し、センターレス研磨と3層メッキで仕上げたものです。

項目内容
メーカーKOOD(クード/金属製品製造コウワ)
品番Y-P-004
材質日本製クロームモリブデン鋼
表面処理3層メッキ/センターレス研磨
軸径16mm(純正と共通)
六角部の二面幅19mm(純正と共通)
定価41,800円(税込)
適合YZF-R25/ABS(15年〜20年)、YZF-R25 ABS(21年〜26年)、MT-25(16年〜25年)、YZF-R3(15年〜26年)、MT-03/ABS(16年〜25年)

※ 品番・材質・製法・定価・適合はメーカーの商品説明にもとづく。定価は2026年9月時点のもので、将来変動する可能性があります。製品情報は KOOD 公式ショップの商品ページ、製法と狙いは KOOD 公式サイトの製品紹介を参照

車体を共有する兄弟車なので、YZF-R25 と YZF-R3 が同じ品番です。

軸径16mm・二面幅19mm。純正と変わるのは材質と仕上げだけ

純正と並べると、全長はほぼ同じです。見た目で分かる違いは仕上げで、KOOD は3層メッキで鏡のように光ります。

純正のピボットシャフト(上・金色)とKOODクロモリピボットシャフト(下・鏡面)を並べた比較。左上にフランジナット
上が純正、下が KOOD。左上がナット
KOODピボットシャフトの頭を正面から。中央が中空で、軸径をノギスで測ると16.00mm。KOOD/YP4の刻印
KOOD。軸径16.00mm、刻印は KOOD/YP4
純正ピボットシャフトの頭を正面から。中央が中空で、軸径をノギスで測ると16.00mm
純正。こちらも16.00mm

中空なのは純正も KOOD も同じで、前・後・ピボットの3本すべてがそうでした。KOOD の刻印 YP4 は品番 Y-P-004 を指します。

シャフト頭の二面幅は純正・KOOD とも19mmで、ナット側も19mmです。フロントアクスルシャフト(純正17mm → KOOD 19mm)やリアアクスルシャフト(純正19mm → 社外17mm)では交換で工具が変わりましたが、ピボットは交換しても使う工具が同じです。

ピボットシャフトキャップはゴム製で、2.5mm幅のマイナスで起こす

最初に外すのが、シャフトの頭とナットに被さっているゴム製のキャップです。左右に1個ずつ付いています。

外した左右2個のゴム製ピボットシャフトキャップ。手前にスケール。縁の一箇所に切り欠きがある
外したキャップ。縁の1箇所に切り欠きがある
車体に付いたままのピボットシャフトキャップ。縁の切り欠きが下側を向いている
組んだ状態。切り欠きは下を向いている
KTCのベビードライバ マイナス BAD-75 を切り欠きに差し込み、ゴムキャップの縁を起こしているところ
切り欠きにベビードライバを差し込んで起こす

この切り欠きに細いマイナスドライバーを差し込んで、縁を起こします。使ったのは KTC のベビードライバ マイナス BAD-75 で、サイズがちょうどでした。

項目内容
メーカーKTC(京都機械工具)
品番BAD-75
先端2.5mm幅/厚み0.4mm
軸長/全長75mm/121mm
小売参考価格280円(税別)

※ 品番・寸法・価格はメーカーの製品情報にもとづく。軸の短い BAD-50(軸長50mm)も同じ2.5mm幅。製品情報は KTC のベビードライバ マイナスのページを参照

キャップを外すと、左側にシャフトの頭、右側にナットが出ます。

キャップを外した車体左側。フレームの奥に純正ピボットシャフトの六角の頭が見え、中央が中空
左側。シャフトの頭が奥まった位置にある
キャップを外した車体右側。ピボットシャフトナットとその中央に見えるシャフトの穴
右側。ナットの中央にシャフトの穴が見える

ナットを緩めてから、フレームを吊る

YZF-R25/R3 のピボット部は、シャフト1本がスイングアームとフレームを貫いているだけです。リアサスペンションもリンクを持たないので、シャフトを抜くとスイングアームの前端を保持するものが無くなります。

115N·m で締まっているナットを緩めるのは、車体が安定しているうちです。

車体右側から、クロームのディープソケットを付けたスナップオンのラチェットでピボットシャフトナットを緩めているところ
右側。ディープソケットを付けたラチェットで緩める

吊りには UNIT のフレームスタンド(品番 D6499)とチェーンブロックを使います。ビームにチェーンブロックを掛け、ベルトをフレームに回します。リアサスペンションを交換したときと同じ道具です。リアスタンドに掛けたまま、フレーム側だけを吊り上げます。

チェーンブロックのフックからベルトでYZF-R3のフレームを吊り上げた状態。オーリンズのリアショックが見える
チェーンブロックからベルトでフレームを吊る
真上から見た吊り点。ベルトをシートレールに回してあり、位置はピボットシャフトより後ろ側
真上から。ベルトはシートレールに回す

吊り点はピボットシャフトの位置よりやや後ろにします。シャフトが抜けた状態でフレームとスイングアームをつないでいるのはリアサスペンションだけで、その結合部が支点になります。そこより後ろを吊れば、てこの要領でスイングアームの前端が上下に振れます。

純正フロントアクスルシャフト(φ15mm)をダミーにする

交換するのはシャフト1本なので、スイングアームを外す必要はありません。リアホイールもチェーンも付けたまま、シャフトだけを入れ替えます。そのために、押し出したシャフトの代わりに穴へ残しておくダミーシャフトが要ります。

ダミーに使ったのは、フロントアクスルシャフトの純正品です。KOOD に替えたときに外したものが手元にあります。軸径15mmで、ピボットシャフトの16mm より 1mm 細いだけです。

ダミーに使う純正フロントアクスルシャフト(上)とKOODピボットシャフト(下)を150mmスケールと並べた比較。フロントアクスルの方が短い
上がダミーの純正フロントアクスル。下が KOOD
純正フロントアクスルシャフトの軸径をノギスで測っているところ。15.00mm
ダミーの軸径は15.00mm

フロントアクスルはピボットシャフトより短く、差し替えのあいだ芯を保つ長さとしてはぎりぎりでした。

ダミーは手で押して入る。入らないときは吊り高さを変える

ダミーは右のナット側から差し込み、純正ピボットシャフトを左へ押し出します。叩いたり圧入したりはせず、手で押すだけで入ります。

入らないのは力が足りないからではなく、高さが合っていないからです。

ダミーを軽く押し込んだまま、チェーンブロックを少しずつ上げ下げします。掛かっていたテンションが抜けると、そこですっと入ります。

車体右側から、純正フロントアクスルシャフトをピボット部に差し込んで押し込んでいるところ
右側からダミーを差し込む
車体左側で、押し出された純正ピボットシャフトのフランジ付きの頭がフレームから突き出ている状態
左側へ純正が出てくる

ダミーが芯に残るので、スイングアームの前端は落ちません。スペーサー・ダストカバー・ベアリングは外さず、ダミーが抜けきると位置がずれるので穴にはシャフトを通したままにします。

グリスを塗って、左の頭側から KOOD を入れる

差し込む前に、シャフトへグリスを塗ります。使ったのはベルハンマーゴールド グリース No.2 で、前後のアクスルシャフトやリアサスペンションと同じものです。ねじ部には塗りません。

KOODピボットシャフトの軸にベルハンマーゴールド グリース No.2 を塗り終えた状態。奥に外した純正シャフト
KOOD の軸にグリスを塗る

KOOD は左の頭側から入れ、ダミーを右へ押し出しながら差し替えます。

車体左側から、グリスを塗ったKOODピボットシャフトを手で押し込んでいるところ。頭にKOOD/YP4の刻印
左側から KOOD を押し込む

115N·m はナット側に掛ける

本締めの前に、チェーンブロックを緩めて車体をリアスタンドへ下ろします。

締め付けるのはピボットシャフトナットの1箇所だけで、M16・115N·m です。左のシャフト頭は19mmで共回りを押さえ、右のナット側に19mmのディープソケットでトルクを掛けます。

車体右側から、19mmのディープソケットを付けたトルクレンチでピボットシャフトナットを締めているところ
ナット側に 115N·m

これまで使ってきた スタビレー(STAHLWILLE)のトルクレンチ 730N/10S は測定範囲が 20〜100N·m で、115N·m は範囲外です。前後アクスル(52N·m/57N·m)もリアサスペンション(58N·m)も、これまでは範囲内で足りていました。

使ったのは ベストツールの TQW-4 です。

項目内容
メーカーベストツール(BEST)
品番TQW-4
測定範囲28〜210N·m
方式プリセット型(左右どちらの締め付けにも対応)
差込角12.7mm
呼び寸法470 × 45 × 30mm
重量1,360g
材質特殊合金鋼
JAN4991347674022

※ 品番・測定範囲・方式・寸法・重量・材質・JANはメーカーの製品情報にもとづく。製品情報は ベストツールの TQW-4 の製品ページを参照

締め終わったら、キャップを切り欠きが下を向く向きで押し込んで戻します。

この数値は 締め付けトルク一覧のスイングアーム・リアサスペンションに載せています。

ピボットの脱着に使った工具

使った工具一式。ベストツールのトルクレンチ、スピンナーハンドル、スナップオンのラチェット、19mmディープソケット、KTCのベビードライバ、ベルハンマーゴールドのグリース
使った工具一式

ゴムキャップを戻すと、交換したことは外から分からない

ベアリングの状態は、外していないので見られません。

ゴムキャップを戻したYZF-R3の左側のピボット部。シャフトは隠れて見えない
キャップを戻した左側。冒頭の写真と同じ場所

YZF-R25 では効果を確かめるために、3年半 純正へ戻した

YZF-R25 でこのシャフトを入れたのは、オーリンズのリアショックを導入したあとです。セッティングを探りながら走り、純正のシャフトへ戻し、また KOOD へ替えました。

走行日ODO内容
2018年4月17日2,526kmKOOD クロモリピボットシャフトを装着
2018年4月30日―転倒
2018年10月20日2,625km純正ピボットシャフトへ戻す
2022年4月30日3,421kmKOOD ピボットシャフトを再装着

純正で走ったのは12走行日です。

4月30日は、筑波サーキットの最終コーナーで転倒しました。前後のイニシャルを変更した日で、リアのイニシャルをかけすぎたのが主な原因です。

純正には粘りがあり、KOOD ではリアサスの仕事量が増えた

スイングアームのよじれが抑えられるのか、KOOD にするとリアサスペンションがよく働くようになりました。差が出たのは、筑波サーキットの最終コーナーのような高速コーナーです。

純正へ戻すと動きの鈍さが出ました。ただし粘りのある感触で、走りにくくはありませんでした。

KOOD に替えると、リアサスのセッティングがシビアになりました。つまり、サスの仕事量が増えたということです。

KOOD はピボットとリアのシャフトについて、走行中は「スイングアームとアクスルシャフトは、ねじれ や たわみ といった変形が生じています」とし、その変形を寄せつけないことがトラクションの増大に効くと説明しています。

※ メーカーの説明は KOOD 公式ブログ「クロモリアクスルシャフト ピボットとリアの効果効能について」(2023年9月25日)による

※ タイヤ・空気圧・気温・路面まで揃えた計測ではなく、走行記録にもとづく体感の記録

7-3-5-3 はベアリングやカラーの変更まで認めていない

装備の基準として参考にしている JP-SPORT の技術仕様は、7-3-5-3 で「リアフォークスピンドルシャフト(ピボットシャフト)およびナットとワッシャーは公認車両の状態を維持しなければならない。ベアリング、ディスタンスカラー、スペーサー、オイルシール類の変更も許可されない」としています。

アクスルシャフトの 7-3-9-2 が「公認車両の状態を維持」までなのに対し、こちらは周辺部品の変更まで名指しで禁じています。ナットは再使用しています。

同じ 7-3-5 の節では、7-3-5-1 がリアフォーク本体にも表面処理を含めた維持を求めています。部品ごとの条文番号は YZF-R3カスタムの規則一覧にまとめています。

同じ足まわりの記事一覧は YZF-R3カスタム にまとめています。