YZF-R3 のカスタム記録のうち、足まわりです。YZF-R25 で使っていた KOOD のピボットシャフトを、そのまま R3 へ移しました。スイングアームとフレームを貫いている1本です。
下の写真は交換を終えた左側です。頭に KOOD の刻印が見えていますが、この上にゴムのキャップが被さるので、組み上げると外からは見えません。

KOOD(クード)のシャフトです。材質も製法もフロントアクスルシャフトと同じで、日本製のクロームモリブデン鋼を独自の熱処理で調質し、センターレス研磨と3層メッキで仕上げたものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | KOOD(クード/金属製品製造コウワ) |
| 品番 | Y-P-004 |
| 材質 | 日本製クロームモリブデン鋼 |
| 表面処理 | 3層メッキ/センターレス研磨 |
| 軸径 | 16mm(純正と共通) |
| 六角部の二面幅 | 19mm(純正と共通) |
| 定価 | 41,800円(税込) |
| 適合 | YZF-R25/ABS(15年〜20年)、YZF-R25 ABS(21年〜26年)、MT-25(16年〜25年)、YZF-R3(15年〜26年)、MT-03/ABS(16年〜25年) |
※ 品番・材質・製法・定価・適合はメーカーの商品説明にもとづく。定価は2026年9月時点のもので、将来変動する可能性があります。製品情報は KOOD 公式ショップの商品ページ、製法と狙いは KOOD 公式サイトの製品紹介を参照
車体を共有する兄弟車なので、YZF-R25 と YZF-R3 が同じ品番です。
純正と並べると、全長はほぼ同じです。見た目で分かる違いは仕上げで、KOOD は3層メッキで鏡のように光ります。



中空なのは純正も KOOD も同じで、前・後・ピボットの3本すべてがそうでした。KOOD の刻印 YP4 は品番 Y-P-004 を指します。
シャフト頭の二面幅は純正・KOOD とも19mmで、ナット側も19mmです。フロントアクスルシャフト(純正17mm → KOOD 19mm)やリアアクスルシャフト(純正19mm → 社外17mm)では交換で工具が変わりましたが、ピボットは交換しても使う工具が同じです。
最初に外すのが、シャフトの頭とナットに被さっているゴム製のキャップです。左右に1個ずつ付いています。



この切り欠きに細いマイナスドライバーを差し込んで、縁を起こします。使ったのは KTC のベビードライバ マイナス BAD-75 で、サイズがちょうどでした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | KTC(京都機械工具) |
| 品番 | BAD-75 |
| 先端 | 2.5mm幅/厚み0.4mm |
| 軸長/全長 | 75mm/121mm |
| 小売参考価格 | 280円(税別) |
※ 品番・寸法・価格はメーカーの製品情報にもとづく。軸の短い BAD-50(軸長50mm)も同じ2.5mm幅。製品情報は KTC のベビードライバ マイナスのページを参照
キャップを外すと、左側にシャフトの頭、右側にナットが出ます。


YZF-R25/R3 のピボット部は、シャフト1本がスイングアームとフレームを貫いているだけです。リアサスペンションもリンクを持たないので、シャフトを抜くとスイングアームの前端を保持するものが無くなります。
115N·m で締まっているナットを緩めるのは、車体が安定しているうちです。

吊りには UNIT のフレームスタンド(品番 D6499)とチェーンブロックを使います。ビームにチェーンブロックを掛け、ベルトをフレームに回します。リアサスペンションを交換したときと同じ道具です。リアスタンドに掛けたまま、フレーム側だけを吊り上げます。


吊り点はピボットシャフトの位置よりやや後ろにします。シャフトが抜けた状態でフレームとスイングアームをつないでいるのはリアサスペンションだけで、その結合部が支点になります。そこより後ろを吊れば、てこの要領でスイングアームの前端が上下に振れます。
交換するのはシャフト1本なので、スイングアームを外す必要はありません。リアホイールもチェーンも付けたまま、シャフトだけを入れ替えます。そのために、押し出したシャフトの代わりに穴へ残しておくダミーシャフトが要ります。
ダミーに使ったのは、フロントアクスルシャフトの純正品です。KOOD に替えたときに外したものが手元にあります。軸径15mmで、ピボットシャフトの16mm より 1mm 細いだけです。


フロントアクスルはピボットシャフトより短く、差し替えのあいだ芯を保つ長さとしてはぎりぎりでした。
ダミーは右のナット側から差し込み、純正ピボットシャフトを左へ押し出します。叩いたり圧入したりはせず、手で押すだけで入ります。
入らないのは力が足りないからではなく、高さが合っていないからです。
ダミーを軽く押し込んだまま、チェーンブロックを少しずつ上げ下げします。掛かっていたテンションが抜けると、そこですっと入ります。


ダミーが芯に残るので、スイングアームの前端は落ちません。スペーサー・ダストカバー・ベアリングは外さず、ダミーが抜けきると位置がずれるので穴にはシャフトを通したままにします。
差し込む前に、シャフトへグリスを塗ります。使ったのはベルハンマーゴールド グリース No.2 で、前後のアクスルシャフトやリアサスペンションと同じものです。ねじ部には塗りません。

KOOD は左の頭側から入れ、ダミーを右へ押し出しながら差し替えます。

本締めの前に、チェーンブロックを緩めて車体をリアスタンドへ下ろします。
締め付けるのはピボットシャフトナットの1箇所だけで、M16・115N·m です。左のシャフト頭は19mmで共回りを押さえ、右のナット側に19mmのディープソケットでトルクを掛けます。

これまで使ってきた スタビレー(STAHLWILLE)のトルクレンチ 730N/10S は測定範囲が 20〜100N·m で、115N·m は範囲外です。前後アクスル(52N·m/57N·m)もリアサスペンション(58N·m)も、これまでは範囲内で足りていました。
使ったのは ベストツールの TQW-4 です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | ベストツール(BEST) |
| 品番 | TQW-4 |
| 測定範囲 | 28〜210N·m |
| 方式 | プリセット型(左右どちらの締め付けにも対応) |
| 差込角 | 12.7mm |
| 呼び寸法 | 470 × 45 × 30mm |
| 重量 | 1,360g |
| 材質 | 特殊合金鋼 |
| JAN | 4991347674022 |
※ 品番・測定範囲・方式・寸法・重量・材質・JANはメーカーの製品情報にもとづく。製品情報は ベストツールの TQW-4 の製品ページを参照
締め終わったら、キャップを切り欠きが下を向く向きで押し込んで戻します。
この数値は 締め付けトルク一覧のスイングアーム・リアサスペンションに載せています。

ベアリングの状態は、外していないので見られません。

YZF-R25 でこのシャフトを入れたのは、オーリンズのリアショックを導入したあとです。セッティングを探りながら走り、純正のシャフトへ戻し、また KOOD へ替えました。
| 走行日 | ODO | 内容 |
|---|---|---|
| 2018年4月17日 | 2,526km | KOOD クロモリピボットシャフトを装着 |
| 2018年4月30日 | ― | 転倒 |
| 2018年10月20日 | 2,625km | 純正ピボットシャフトへ戻す |
| 2022年4月30日 | 3,421km | KOOD ピボットシャフトを再装着 |
純正で走ったのは12走行日です。
4月30日は、筑波サーキットの最終コーナーで転倒しました。前後のイニシャルを変更した日で、リアのイニシャルをかけすぎたのが主な原因です。
スイングアームのよじれが抑えられるのか、KOOD にするとリアサスペンションがよく働くようになりました。差が出たのは、筑波サーキットの最終コーナーのような高速コーナーです。
純正へ戻すと動きの鈍さが出ました。ただし粘りのある感触で、走りにくくはありませんでした。
KOOD に替えると、リアサスのセッティングがシビアになりました。つまり、サスの仕事量が増えたということです。
KOOD はピボットとリアのシャフトについて、走行中は「スイングアームとアクスルシャフトは、ねじれ や たわみ といった変形が生じています」とし、その変形を寄せつけないことがトラクションの増大に効くと説明しています。
※ メーカーの説明は KOOD 公式ブログ「クロモリアクスルシャフト ピボットとリアの効果効能について」(2023年9月25日)による
※ タイヤ・空気圧・気温・路面まで揃えた計測ではなく、走行記録にもとづく体感の記録
装備の基準として参考にしている JP-SPORT の技術仕様は、7-3-5-3 で「リアフォークスピンドルシャフト(ピボットシャフト)およびナットとワッシャーは公認車両の状態を維持しなければならない。ベアリング、ディスタンスカラー、スペーサー、オイルシール類の変更も許可されない」としています。
アクスルシャフトの 7-3-9-2 が「公認車両の状態を維持」までなのに対し、こちらは周辺部品の変更まで名指しで禁じています。ナットは再使用しています。
同じ 7-3-5 の節では、7-3-5-1 がリアフォーク本体にも表面処理を含めた維持を求めています。部品ごとの条文番号は YZF-R3カスタムの規則一覧にまとめています。
同じ足まわりの記事一覧は YZF-R3カスタム にまとめています。