YZF-R3 キャッチタンク取り付け(ガソリン・冷却水)

サーキットを走る車両は、あふれたガソリンと冷却水を路面に落とせません。純正の YZF-R3 は、ガソリンタンクから下りるホース2本と、冷却水のリザーバータンクから出ているエアホースが大気開放になっています。

燃料側は2本ともキャッチタンクへつなぎ替え、冷却水側はリザーバータンクごとキャッチタンクへ置き換えます。どちらも YZF-R25 から移したものです。

作業は、タンク・エアクリーナーボックス脱着でタンクを外した状態から始めます。

YZF-R3の車体左側。フレームのパイプにタイラップで縦に留めた半透明のキャッチタンクと、エンジンの上を通ってラジエターキャップへ向かうオレンジのシリコンホース

エスコ EA508AF-2 を冷却水用とガソリン用に1個ずつ

キャッチタンク用として売られている製品ではなく、薬品や試料を入れる角型広口ポリ容器を流用しています。

項目内容
ブランド・品番エスコ(ESCO) EA508AF-2
商品名55x55x128mm/0.25L 角型広口ポリ容器
製造瑞穂化成工業(型番 0142)
容量250ml
目盛間隔50ml
サイズ55×55×128(H)mm
フタ内径30mm(ねじ式・中栓付)
材質ポリエチレン
価格190円(税抜)

※ 容量・寸法・材質・価格は エスコの製品ページ(2026年9月時点)による

オレンジのシリコンホースを差した半透明のポリ容器。側面に50から250mlまでの目盛りが入っている
内径5mmのオレンジのシリコンホース

7-3-30-3 と 7-3-16-7 が求めるのは「最低容量250㏄以上」

装備の基準として参考にしているのは、MFJ 国内競技規則 2026 付則11「JP-SPORT技術仕様」です。

対象条文求めている内容
燃料タンクのブリーザーパイプ7-3-30-3ブリーザーチューブの先端が、適切な材質でできた最低容量250㏄以上のキャッチタンクに放出されること
ラジエターオーバーフローパイプ7-3-16-7パイプの先端が、適切な材料でできた最低容量250㏄以上のキャッチタンクに接続されること

リザーバータンクごと撤去する

純正のリザーバータンクは車体左側、シリンダーの後ろにあります。つながっているのは、ラジエターキャップから来るオーバーフローホースとエアホースの2本です。

YZF-R3の車体左側。エンジン上部とフレームの間に、黒いカバーに収まった純正のクーラントリザーバータンク
取り外し前のリザーバータンク
フレームのパイプの切り口へ、リザーバータンクから来た黒いエアホースの先端が差し込まれている
フレームパイプの切り口

エアホースの先端はパイプの切り口へ差し込んであるだけで、留めてもいません。

リザーバータンクはカウルの固定ネジと共締めです。ネジを外して手前に引き抜くと外れます。

YZF-R3のラジエターキャップ。1.1の刻印があり、首から黒いオーバーフローホースが伸びている
ラジエターキャップの首から出る純正のオーバーフローホース
車体から外した純正のクーラントリザーバータンク。黒いカバーの中は白い半透明の本体で、2本の黒いホースがつながっている
外した純正リザーバータンクとホース2本

無加工のフタに穴を開ける

フタ穴径(mm)
ガソリン用オーバーフローホースφ12
シリコンホースφ9
空気抜きφ2
冷却水用シリコンホースφ9
空気抜きφ2
ポリ容器のフタを真上から。オレンジのホースが通る穴の横に、小さな丸い穴がもう1つ開いている
φ2mm の空気抜き

空気抜きがないと、液体が入っていきません。

ラジエターキャップのオーバーフローパイプへ直接つなぐ

ラジエターキャップの首に差し込んだオレンジのシリコンホース。純正のワイヤークリップで留めてある
ラジエターキャップ側
フレームのパイプにタイラップ2本で縦に留めたキャッチタンク。250mlまでの目盛りが見えている
冷却水用の取り付け完了

純正の黒いホースを抜いて、シリコンホースに入れ替えます。クリップは純正のワイヤークリップをそのまま使いました。

タンクは車体左側のフレームパイプに、タイラップ2本で縦に留めています。

キャッチタンクに出た冷却水はラジエターへ戻しません。溜まることはほとんどなく、量は定期点検で見ています。

ガソリン側の純正ホース2本

細い方がフューエルタンクブリーザーホース、太い方がフューエルタンクオーバーフローホースです。どちらもエンジンの上でタンクにつながり、そこから下へ降りています。2本とも中間の継手で上下に分かれます。この継手で下側を外し、上側をキャッチタンクへ回します。太い方はそのまま、細い方はワンウェイバルブとシリコンホースを挟みます。

エンジン下部から下向きに垂れる2本の黒いホース。左が細く右が太く、どちらも切り口が斜めに落ちている
エンジンの下に垂れた2本。切り口はどちらも斜め
車体から外した純正のフューエルタンクブリーザーホースとオーバーフローホース。2本とも中間に継手が入っている
外した2本。どちらも中間に継手

細いブリーザーホースはドライブスプロケットカバーの中を通る

細い方は、タンクの下からエンジンの左側を回り込んで降りていきます。

エンジン上部でフューエルタンクブリーザーホースの先端を手で持ち上げたところ。ワイヤークリップが付いている
ブリーザーホースのタンク側
エンジンマウントプレートの脇を通って下へ降りていくブリーザーホースを指でたどっている
エンジンマウントプレートの脇

途中から先が見えなくなります。ホースはカバーの内側に固定されているので、カバーを外さないと抜けません。

ドライブスプロケットカバーの上側のボルトを、T字ハンドルに付けたソケットで緩めているところ
ドライブスプロケットカバーの上側のボルト
GBRacingのジェネレーターカバーの隣にあるドライブスプロケットカバーの下側のボルト
下側のボルト。左は GBRacing のジェネレーターカバー
カバーを外して露出したドライブスプロケットとチェーン。その脇をブリーザーホースが下へ通っている
カバーを外した状態

カバーのボルトは M6・二面幅8mm、締付トルクは 10N·m です(締付トルクデータ参照)。

太いオーバーフローホースの継手

継手の両側はワイヤークリップです。

エンジン上部でタンクにつながる側の、太いフューエルタンクオーバーフローホースの先端。ワイヤークリップ付き
オーバーフローホースのタンク側
オーバーフローホースの中間にある継手。両側をワイヤークリップで留めてある
中間の継手

ブリーザー側にキジマ 105-151 のワンウェイバルブを入れる

純正ホースとシリコンホースの継ぎ目に入れています。

キャッチタンクに接続した2本のホース。オレンジのシリコンホース側に赤いアルミ製のワンウェイバルブが入っている
取り付け前のガソリン用キャッチタンク
項目内容
メーカー・品番キジマ 105-151
商品名ワンウェイバルブ ボールタイプ レッド 6mm
材質・色アルミ/レッドアルマイト
全長44.5mm
ニップル外径Φ6.0mm
価格1,100円(税込)

※ 全長とニップル外径は製品ページ掲載の寸法図、材質・価格は キジマの製品ページ(2026年9月時点)による

通す向きは、キャッチタンク側からタンク側です。

燃料が減ったぶんの空気をタンクに入れないと、ポンプが吸えなくなります。

キジマはフューエルラインへの使用を不可としています。

燃料タンクブリーザーの逆止弁は、GP フォーミュラ(付則7 7-14-9)と JSB1000(付則8 7-13-5)では義務ですが、基準にしている JP-SPORT は求めていません。

ガソリン用キャッチタンクは車体右側

エンジンの上を横断するオレンジのシリコンホース。純正ホースとは赤いワンウェイバルブでつながっている
タンク側を接続した状態
車体右側のフレームにタイラップ2本で留めたガソリン用キャッチタンク。フタから太い黒ホースとオレンジのホースが入っている
ガソリン用の取り付け完了

ブリーザーとオーバーフローの2本とも、同じキャッチタンクに入れます。ブリーザーホースが降りてくるのは左側なので、シリコンホースは左右をまたいでエンジンの上を渡ります。

使った工具

使った工具。KTCのT字ハンドル、KNIPEXのホースクリップ用プライヤーとスーパーニッパー、8mmソケット
使った工具一式

純正ホースのクリップはスプリング式です。ホースクリップ用プライヤーは、つかんだ位置で開いたまま保持できます。

ほかの部品に条文がどう当たるかは YZF-R3カスタムの規則一覧にまとめています。

※ 7-3-30-3・7-3-16-7 は MFJ 国内競技規則 2026 付則11 JP-SPORT技術仕様(PDF)、7-14-9 は 付則7 GPフォーミュラ技術仕様(PDF)、7-13-5 は 付則8 JSB1000技術仕様(PDF)による