YZF-R3 ブレーキホース交換(フロントはメッシュ、リアは純正)

YZF-R3 のカスタム記録のうち、ブレーキ系です。ABS ユニットを撤去すると、ユニットで継いでいた純正のホースは使えません。フロントはスウェッジラインのステンレスメッシュ(ステンメッシュ)ホース、リアは純正ホースで引き直しました。

この車両はナンバープレートを返納済みで、公道は走りません。ホース・バンジョーボルト・フルードの変更は、JP-SPORT の技術仕様 7-3-7-1〜7-3-7-3 の範囲です。

ステンレスメッシュホースをつないだYZF-R3の金色のフロントブレーキキャリパー。ブリードスクリューに青いキャップ

部品:フロントはスウェッジライン 600mm、リアは純正 1WD-F5873-00

フロント

フロントはスウェッジライン(プロト)のイージーオーダーホースに、バンジョーアダプターとバンジョーボルトを組み合わせます。

白い紙の上に置いたフロント用の部品。ステンレスメッシュホース1本、ETP310のバンジョーボルト2本、バンジョーアダプター2個、銅のクラッシュワッシャー4枚
部品品番メーカー希望小売価格
イージーオーダーホース ステン・クリア SF-SF 600mmSTK-1010M-06007,150円(税込)
バンジョーアダプター ストレート ステンレスBA6112,200円(税込)
バンジョーアダプター 20° ステンレスBA6122,200円(税込)
バンジョーボルト M10×P1.25 シングル ステンレス(クラッシュワッシャー付属)ETP310 ×21,210円(税込)×2

バンジョーアダプターは、ストレートの BA611 がマスター側、20° の BA612 がキャリパー側です。

リア

リアは純正ホース 1WD-F5873-00 の1本です。ABS ユニットを介さない非 ABS 車(R25)向けの品番で、ABS 標準装備の R3 は純正で2本に分かれていました。ユニオンボルトは外した純正を再使用し、銅ワッシャーは内径 10mm のものを4枚使います。

白い紙の上に置いたリア用の部品。黒い純正ブレーキホース1本、純正ユニオンボルト2本、銅ワッシャー4枚
部品名称部品番号個数
ホース, ブレーキ 21WD-F5873-001
ボルト, ユニオン(再使用)90401-108122
ホルダ, ブレーキホース(R25 から移植)1WD-F5887-001

リアを純正にしたのは、効きを変える目的がないからです。R25 でもリアは純正のままでした。

バンジョーボルトはホースと同じメーカーで組む

バンジョーボルトはメーカーによってフィッティングの厚みやオイル穴の位置が微妙に異なるため、フロントはスウェッジラインの ETP310、リアは純正の 90401-10812 で、ホースと同じメーカーに揃えます。

青い敷物に2列に並べたバンジョーボルト8本。左の6本は黒い純正、右の2本はステンレスのETP310。どれも横穴が見える向き
左6本が外した純正、右2本が ETP310

フロント:ホース長は R25 で実車合わせした 600mm

車種専用キットの STFB354 は 700mm で、この車体には長すぎます。600mm は YZF-R25 のセッティングを詰める中で実車に合わせて決めた長さで、R3 で測り直してはいません。

ホースを付ける前のYZF-R3を左前から。マスターシリンダーとキャリパーの間にホースがない状態
ホースを通す前
ステンレスメッシュホースをマスターシリンダーからキャリパーまで通したYZF-R3を左前から
ホースを通した後(1G・純正スプリング状態)

フォークが伸び切った状態で、ホースが突っ張らないことを確認します。

フロントスタンドで前輪を浮かせ、フォークが伸び切ったYZF-R3。マスターシリンダーからキャリパーへ下りるステンレスメッシュホースに張りがない状態
フォークが伸び切った状態

フロント:ホルダは R25 のものに替える

フォークに沿って留めるホルダは、R25 のものを付けます。ボルトは 2面幅8mm です。

白い紙の上に並べたフロントのブレーキホースホルダ2個。左は針金の輪が長くゴムのグロメット付き、右は輪が短くゴムのスリーブ付き
左が R25、右が ABS 車の R3

リア:純正ホースとホルダ(1WD-F5887-00)を付ける

ホルダは R25 の 1WD-F5887-00 と ABS 車の R3 の 2WD-F5887-00 で形が違い、R3 のものは使えません。

白い紙の上に並べたリアのブレーキホースホルダ2個。上は針金の輪が両側に張り出した形、下は片側に長い輪がある形
上が R25 の 1WD-F5887-00、下が ABS 車の R3 の 2WD-F5887-00

ホースはホルダに通し、マフラーのステーに当たらないことを確認します。ホルダのボルトは 2面幅10mm です。

スイングアーム脇の針金のホルダに通した黒い純正ブレーキホース
ホルダに通したところ
リアキャリパーにつないだ純正ブレーキホースがマフラーのステーの脇を通るところ。右奥にリアマスターのリザーバー
マフラーのステーとの間隔

締め付けはフロント 25N·m と 12N·m、リア 29N·m

フロントはバンジョーボルト(ETP310)が 25N·m、バンジョーアダプターが 12N·mです。数値は製品に付属する取扱説明書によります。純正のユニオンボルトは 29N·m です(締め付けトルク一覧のフロントホイール・ブレーキ)。

バンジョーボルトは2面幅13mmで、キャリパー側・マスター側ともソケットを付けたトルクレンチで 25N·m です。

フロントキャリパーのバンジョーボルトに、ソケットを付けたトルクレンチを掛けているところ。ホースに SWAGE の青い印
キャリパー側 25N·m
フロントマスターシリンダーのバンジョーボルトに、ソケットを付けたトルクレンチを掛けているところ
マスター側 25N·m

バンジョーアダプターは2面幅13mmで、マスター側はクローフットを付けたトルクレンチで 12N·m です。キャリパー側はクローフットが入らないので、マスター側の感覚を目安にスパナで締めます。

フロントマスターシリンダー下のバンジョーアダプターに、13mmのクローフットを付けたトルクレンチを掛けているところ
マスター側のアダプター。12N·m
フロントキャリパーのバンジョーアダプターの六角に13mmのスパナを掛けているところ。上に青い印の付いたメッシュホース
キャリパー側のアダプターはスパナ

リアは純正のユニオンボルト(2面幅12mm)で、29N·m です(締め付けトルク一覧のリアホイール・ブレーキ)。

リアキャリパーのユニオンボルトに、ソケットを付けたトルクレンチを掛けているところ
キャリパー側
リアマスターシリンダーのユニオンボルトにトルクレンチを掛けているところ。右にオーリンズの金色のスプリングとリザーバー
マスター側

ブレーキフルードを入れてエア抜き

フルードは Project μ の G-four 335 です。グリコール系の100%化学合成で、ドライ沸点 335℃・ウェット沸点 221℃。純正指定の BF-4(DOT4)から替えるので、7-3-7-3 の範囲です。

メーカーの注意書きは他のフルードと混ぜないことで、純正のフルードはユニットの撤去で抜いてあります。マスターシリンダーとキャリパーに残った分は、エア抜きで新しいフルードと一緒に押し出します。

フロント

リザーバーに新しいフルードを補充します。注ぐときは、プラスチックの製品パッケージを切ったものをガイドにして垂れを防ぎます。

白いタオルを巻いたフロントマスターシリンダーのリザーバーに、Project μ G-four 335 のフルードを注いでいるところ
フルードを注いでいるところ
リザーバーから外した金属のプレートとゴムのダイアフラム。左側に切り出した透明なプラスチック片を載せたところ
パッケージを切ったガイド

補充したフルードを経路に流し込むため、キャリパーのブリードスクリューに 50mL のシリンジをつなぎ、少し緩めます。緩めすぎると、そこから空気を吸います。ブレーキレバーを握ったまま最初に2回吸い出します。それ以上吸い出しても効率化にはならないので、あとはレバーのポンピングです。

フロントキャリパーのブリードスクリューに透明のチューブと50mLのシリンジをつなぎ、フルードを吸い出しているところ。下に受けのトレイ

レバーを数回握ってから、握ったままブリーダーを緩めてフルードを送り、ブリーダーを締めるまでレバーを戻しません。ポンピングは速く動かす必要はなく、タンク内のフルードは切らさないようにします。

白いタオルで覆ったフロントマスターシリンダー。ブレーキレバーを手で握ってポンピングしているところ

終わったら、ブリードスクリューの中に残ったフルードを拭き取ります。温まると漏れ出てくることがあるためです。

フロントキャリパーのブリードスクリューの穴に白いペーパーを当て、残ったフルードを吸い取っているところ

リア

リザーバーに新しいフルードを補充します。

白いタオルを巻いたリアマスターシリンダーのリザーバーに、Project μ G-four 335 のフルードを注いでいるところ
フルードを注いでいるところ

補充したフルードを経路に流し込むため、キャリパーのブリードスクリューに透明のチューブと 50mL のシリンジをつなぎ、最初の吸い出しは1回で十分です。あとはペダルを手で押してポンピングします。数回押してから、押さえたままブリーダーを緩めてフルードを送り、ブリーダーを締めるまで戻しません。タンク内のフルードは切らさないようにします。

リアキャリパーのブリードスクリューに透明のチューブをつなぎ、50mLのシリンジで吸い出しているところ。奥にドライブチェーンとスプロケット
ステップ周りに手を伸ばし、リアブレーキペダルを手で押しているところ
ペダルを手で押したところ

チューブに気泡が出なくなったら終わりです。フルードは入れすぎるとキャップを閉めるときに漏れるので、量を見ながら仕上げます。

リアキャリパーのブリードスクリューにつないだ透明チューブをフルードが満たし、気泡がない状態。スクリューにメガネレンチを掛けたところ
気泡が出なくなった状態
キャップを外したリアマスターシリンダーのリザーバーを真上から。緑色のフルードが入った状態
入れすぎない量の目安
キャップを閉めたリアマスターシリンダーのリザーバー。キャップに DOT 4 の刻印があり、リザーバーステーのボルトに六角レンチを掛けたところ
リアの完了。STRIKERバックステップのリザーバーステーは六角 5mm

使った工具

トルクレンチ2本と 2面幅13mm のクローフット、13mm のスパナ、ブリードスクリュー用の 8mm のメガネレンチ、50mL のシリンジ。ソケットは 8mm(フロントのホルダ)・10mm(リアのホルダ)・12mm(純正のユニオンボルト)・13mm(ETP310)で、エクステンションバーを足しました。マスターのキャップはプラスドライバー、STRIKERバックステップのリザーバーステーは 5mm の六角レンチです。

白い紙の上に並べた工具。トルクレンチ2本、クローフット、50mLのシリンジ、13mmのスパナ、メガネレンチ、L型の六角レンチ、エクステンションバー、ソケット、プラスドライバー

ブレーキホースとバンジョーボルトの条文(7-3-7-1〜7-3-7-3)

JP-SPORT の技術仕様は、7-3-7-1 で「前後ブレーキパッドとホースの変更」、7-3-7-2 で「ブレーキホース変更に伴うバンジョウボルトの変更」、7-3-7-3 で「ブレーキフルードの変更」を、レースのために変更が許可される部分に挙げています。3つとも一文で、部品の指定はありません。

キャリパーとマスターシリンダーは純正のままです。7-3-7-6 が車両公認時のものと定めています。

条文と部品の対応はYZF-R3カスタムの規則一覧に、ブレーキ系の記事はブレーキ系の記事一覧にまとめています。

※ 条文は MFJ 国内競技規則 2026 付則11 JP-SPORT技術仕様(PDF)による