YZF-R3 のカスタム記録のうち、ブレーキ系です。ABS ユニットの上面に4つのポートがあり、前後のブレーキホースがつながっています。
この車両はナンバープレートを返納済みで、公道は走りません。装備の基準にしている JP-SPORT の技術仕様にも、ABS の取り外しを認める 7-3-7-6 があります。

ユニットとブラケット、前後のホイールセンサー、ホースと金属パイプまで含めて 約2.5kg です。
パーツカタログで ABS にかかわる部品は「エレクトリカル 3」にまとまっています。ECU 単体の部品設定はなく、スピードセンサー単体の部品設定もありません。
| 部品名称 | 部品番号 | 個数 |
|---|---|---|
| ハイドロリックユニットアセンブリ | 2WD-85930-09 | 1 |
| ブラケット 1 | 2WD-F175T-00 | 1 |
| カラー | 90387-06M60 | 3 |
| グロメット | 90480-14229 | 3 |
| ホイールセンサアセンブリ, フロント | 2WD-85970-00 | 1 |
| ホイールセンサアセンブリ, リヤ | 2WD-85980-00 | 1 |
| ホルダ, ケーブル 1 / 2 | 2WD-F3318-00 / 2WD-F3319-00 | 各1 |
※ 部品名称・部品番号は純正パーツカタログ(日本語版 YZF-R3A/YZF-R3 ABS・2017年モデル)による
この7点はYZF-R25 ABS(登録型式 2WD5・2017年モデル)のパーツカタログでも同一品番でした。この記事の撤去手順はYZF-R25 ABSにもそのまま使えます。
外す前に、どのホースがどのポートへ入るかをテープに書いて貼ります。

ABS のヒューズは3本です。コントロールユニットの 7.5A がタンデムシート前側のカバー内(ヒューズボックス1)、ソレノイドの 15A とモーターの 30A がライダーシート下(ヒューズボックス2)にあります。


ヒューズを抜く ABSキャンセルは、ユニットを外す前に試しました。7.5A を抜いてメインスイッチを ON にしても、ABS 警告灯は点いたままです。
ユニットを外してカプラーを抜いたあと、あらためてキーを ON にしました。メーターの表示は作業前と同じです。
ヒューズボックス2の 15A と 30A は、ユニットを外したあとに抜きました。こちらもメーターの表示は変わりません。


空いた3か所を電源に使う方法は、アクセサリー電源の取り出し場所にあります。

取扱説明書は、10km/h 以上の速度で走行したあと消灯することを点検手順としています。ABS の電装もホイールセンサーも車体に残っていないので、走っても点いたままです。
ABS 警告灯の設定がない MT-03(登録型式 B055・2017年モデル)のメータアセンブリ 2YP-H3500-00 は、YZF-R3 のカプラーにそのまま挿さります。メインスイッチを ON にして、警告灯が点かないことを確かめました。速度と回転数の表示は、走れない状態なので確かめていません。

YZF-R3 ABS の純正メータアセンブリは B02-H3500-00 で、ケースは上下とも MT-03 と同じ品番です。
2YP-H3500-00 の新品の希望小売価格は、2026年10月1日時点で税込 86,790円です。メーターは中古で入手し、ODO は 3万km を超えています。
※ MT-03 の部品名称・部品番号・価格は純正パーツカタログ(日本語版 MT320/MT-03・2017年モデル)による
4本とも、ゴムホースとスチールパイプが継ぎ目でつながった組み合わせで、パイプはフレームの隙間に合わせて曲げてあるので、バンジョーを緩めただけでは抜けません。
フレーム側への固定は、フロントマスター(FM)側2か所・フロントキャリパー(FC)側2か所の計4か所です。ボルトはボルト,フランジで、95022-06020 が2本・95027-06012 が2本です。
マスターシリンダーのリザーバーキャップはねじが固着していたので、インパクトドライバーで緩めました。キャップを開けてから、キャリパーのブリードスクリューにチューブをつないで下の容器へ抜きます。


フルードは抜いても経路の中に残ります。塗装にかかる面を濡らしたタオルで覆ってから、2面幅12mmのバンジョーボルトを緩めます。

フロントマスター(FM)側は、マスターに近いところの1か所を外します。

中継は、フロントマスター(FM)とフロントキャリパー(FC)のバンジョーが左右に並ぶブラケットです。フロントマスター(FM)側のバンジョーボルトを外します。


フロントマスター(FM)側は干渉するものがないので、ホースはそのまま抜けます。
フロントキャリパー(FC)側はラジエターの上で留まっています。
バンジョーを外したあともフルードが垂れるので、ホースの端をカップに挿して受けます。



このままではホースが外せないので、細いマイナスドライバーでクランプのロックを起こして外します。

継ぎ目はねじ込みで、10mm のコンビネーションレンチで分解します。


イグナイターなどが入る箱が、スチールパイプの通り道をふさいでいます。箱を留めているナットを外して手前へずらし、空いたスペースからスチールパイプを引き抜きます。

手順4でフロントマスター(FM)側を外したブラケットに残った、フロントキャリパー(FC)側のバンジョーボルトを外します。キャリパーにつながるホースが外れます。

ユニット上面の4本のうち、フロントマスター(FM)とフロントキャリパー(FC)を外します。リアマスター(RM)とリアキャリパー(RC)はリアの作業まで残します。


マスター端に1本、中継に2本、ABS ユニットに2本、キャリパー端に1本。純正のフロント系はバンジョーボルト6本で継がれていました。

フロントのセンサーは、フォークの下端からブレーキディスクの内側を向いています。


配線はフォークに沿うホルダ(2WD-F3318-00)に通っています。ホルダの両端が、キャリパーの取り付けボルトと共締めです。ボルト2本を抜いてキャリパーを外し、ホルダを引き抜きます。

センサーの配線は白い2極のカプラーで車体側のハーネスにつながっています。これを抜きます。


センサー・配線・ホルダは、一体のまま外します。

純正は M10×P1.25・長さ28mm、替えたボルトはステンレスの25mmです。


頭は2面幅13mmの六角で、穴が3つ開いています。締め付けは 35N·m です(同じキャリパー取り付けボルトを締めたフロントブレーキ ローター+パッド/締め付けトルク一覧)。
配線を外したあとも、ラジエターの上にホルダが残ります。何も留めていない部品を残さない、フレームから飛び出る鋭利な部品は撤去する、という2つの理由で外します。六角穴付きボルト1本です。


純正ホース2本は、マスター端・ユニット側のリアマスター(RM)・ユニット側のリアキャリパー(RC)・キャリパー端の4か所のバンジョーで継がれています。ユニット本体もリア側の作業で外します。
リア側は、センサーの配線がスイングアームの上を通ります。


センサー本体はボタンヘッドのボルト1本で、フロントのフランジボルトとは別部品です。


カプラーはフロントと同じ白い2極です。

抜き方はフロントと同じです。


両端のバンジョーボルトを抜けば、ホースはそのまま外れます。

ユニット側のリアキャリパー(RC)のバンジョーはフレームに干渉して外せないので、先に取り付けボルトを緩めて浮かせます。ブラケットは3か所で留まっていて、ボルトはどれも2面幅8mmです。


フレームのステーとブラケットの間には、3か所とも防振用のゴムのグロメットと金属のカラーが入っています。

浮かせると見える、ユニット側のリアキャリパー(RC)のバンジョーボルトを外します。

ユニット側面のカプラーは、横のレバーを後ろへ倒すと抜けます。


ユニットはドライブチェーン側から外します。


ブラケットを外すと、フレームのステーの上側2か所が空きます。

戻せるようにハーネスは切らずに残し、端子面に古河電工のエフコテープ2号を巻きます。自己融着テープなので、端子に糊が残りません。

カタログの部品名称はロータ,センサで、前後で同じ部品です。留めるスクリュ(90149-05029)とともに、YZF-R25 ABS でも YZF-R3 と同一品番でした。
前後とも、ホイールを車体から外し、スクリュを3本抜きます。






外したホイールセンサーとセンサーローターは保管してあります。サービスマニュアルは、磁石を使ったピックアップツールや磁気を帯びたドライバーをホイールセンサーとセンサーローターに近づけないことを求めています。
JP-SPORT の技術仕様は、7-3-7-6 の第2段落で「公認車両にABS仕様が装備された車両の場合は、ABS用のECU交換、取り外しとABS関連モジュール・ユニットの搭載位置変更、取り外しおよびホース類の変更は許可される。ABS機能が排除された場合でも、ABS仕様のマスターシリンダーおよびブレーキキャリパーの改造は禁止される」としています。車種を限定した書き方ではないので、2015年からABS標準装備グレードがあるYZF-R25 ABSでも同じ扱いです。
同じ条文の第1段落はキャリパーとマスターシリンダーを車両公認時のものと定めており、どちらも純正のまま使っています。
キャリパーボルトの交換は 7-3-26-1 の範囲で、材質は「公認車両と同じ、または鉄製」に限られます。ステンレスは鉄の分類で、条文の読み方と適用範囲はレバー・ボルト交換に書いています。
頭の穴は 7-3-7-8 の「ブレーキキャリパー脱落防止のためのワイヤーロックを目的としてキャリパーボルトへの穴あけが認められる」に当たります。
ディスク本体は 7-3-7-4、パッドとホースは 7-3-7-1 と、ブレーキまわりは条文が分かれています。番号と部品の対応は YZF-R3カスタムの規則一覧にあります。
同じ系統の記事はブレーキ系の記事一覧にまとめています。
※ 条文は MFJ 国内競技規則 2026 付則11 JP-SPORT技術仕様(PDF)による